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TEAM SHACHIが13年8か月を凝縮した最終SHOWで活動にフィナーレ:彼女たちが残した余韻を考える #TEAMSHACHI

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終わりは、いつだって唐突だ。


たとえそれが何年も前から予告されていたとしても、実際にその瞬間を迎えると、人は驚くほど無防備になる。今年2月にスターダストプロモーション名古屋発ポジティブグループ TEAM SHACHIは年内をもってグループの解散を発表した。


2025年12月13日。名古屋城。ここは彼女たちの「最終地点」であり、同時に「始まりの場所」でもある。チケットはもちろん完売。最後のパフォーマンスを体感しようと3,200人を越えるタフ民(TEAM SHACHIファンの呼称)が集まった。


名古屋発。地方アイドル。ローカルから全国へ。そんな言葉で簡単に括れてしまうほど、この13年8か月という時間は平坦ではなかったはずだ。それでも彼女たちは近道を選ばなかった。ひたすら現場に立ち、声を出し、踊り、ファンと向き合い続けてきた。


定刻から少し遅れ、照明が落ち出囃子が鳴り響く。秋本帆華、咲良菜緒、大黒柚姫、坂本遥奈の4人がステージに現れた。序盤から中盤へと続くセットリストは、いわゆるベスト盤的な構成ではある。しかし不思議と懐かしさよりも、現在進行形の強度を感じさせる。楽曲が変わるたび、会場の熱量は上書きされる。MCも少なく、彼女たちがこれまで積み上げてきたパフォーマンスがひたすらに披露され続ける。


ライブ後半、空気が少しずつ変わっていくのが分かる。終わりが近づいていることを誰もがそれを理解しているのに、誰も止められない。時間は残酷で公平だ。ステージ上の4人も、客席の私たちも、その流れに身を委ねるしかない。最後の楽曲「晴れ晴れ」でライブが終わった。


一瞬の静寂から次の瞬間、名古屋城の夜空を震わせるほどの拍手と歓声が巻き起こる。彼女たちを求める声は、予定調和のアンコールのような儀式ではない。感情そのものだ。


再び姿を現した4人は、マイクを通さずに声を張り上げた。


「本当に、ありがとうございました!」


その声は、驚くほど真っ直ぐだった。演出でも、決め台詞でもない。13年8か月を生き切った人間の声だった。ショッピングモールのステージ、さまざまな規模のフェス、アリーナ、そして武道館。様々な現場に足を運んだが、この日の空気は特別だった。音楽が終わっても、物語は終わらない。そう信じさせてくれるライブは、決して多くない。


TEAM SHACHIは、この日をもって活動に一区切りをつけた。だが、彼女たちが残したものは<解散>という言葉では説明しきれない。それは自分たちのやり方で、誠実に続ければ、ここまで辿り着けるという証明だ。


「最終SHOW」という言葉には、どこか不思議な余白がある。解散でも、活動終了でもなく、<SHOW>。それは終わりでありながら、最後まで舞台に立つ者の言葉だ。


TEAM SHACHIは「名古屋発」「地方アイドル」と語られるが、説明としては正しくても、本質ではない。彼女たちの特徴は「地方にいたこと」ではなく、地方にいることを言い訳にしなかった点にある。グループが次のステージに行った改名のタイミングでも彼女たちはTEAM SHACHIは一貫して<ここでやる>という選択を続けた。


東京ドームでの単独公演、紅白歌合戦出場、音楽チャートでの首位獲得、このラインをブレイクというのであれば、「彼女たちはブレイクしなかった」と言うこともできる。一方で「消えなかった」とも言える。TEAM SHACHIを語る上で重要なのは「続いた」のではなく「続けた」という点だ。


名古屋城、地元イベント、ローカルメディア。それらは通過点ではなく主戦場だった。地元に根を張るという行為は常に結果を突きつけられる。誤魔化しがきかない。逃げ場がない。続けることそのものが評価軸になる。彼女たちは、その厳しさを引き受け続けた。


時代が変わり、シーンが変わり、求められるものが変わっても、彼女たちは自分たちのやり方を大きく変えなかった。過剰に迎合せず、かといって頑なにもならない。流行を取り入れながらも、軸は常に熱狂のパフォーマンスを披露する現場にあった。


ライブをやる。

ファンと向き合う。

声を出す。踊る。届ける。


あまりにも基本的なことを彼女たちは一度も手放さなかった。TEAM SHACHIのライブを一言で語るなら「一体感」だ。だがそれは一般的な盛り上がるライブとは少し違う。彼女たちの現場にはステージに立つ側だけでなく、客席にいる側にも責任感があった。ライブで歌い、踊ることがが「消費」ではなく、「参加」になっていた。だからこそ、最終SHOWの現場にいたタフ民はただ見送る立場ではなく、物語を一緒に完結させる当事者だった。時間と信頼が必要なこの関係性をTEAM SHACHIは13年8か月かけて築いたのだ。


<SHOW>とは見せるものだ。プロとして、舞台に立つ者として、最後まで<表現>で締めくくるという意思表示なのだ。悲壮感に寄りかかることなく晴れ晴れと終わる。それは、逃げでも強がりでもない。やり切った者だけが選べる終わり方だ。


TEAM SHACHIは日本のアイドル史を塗り替えたわけではない。だが、後輩グループたちが今後道を選ぶことになる日本のアイドルの「あり方」を、確実に広げた。そして、それは次の世代にとっての<現実的な希望>なのだ。


TEAM SHACHIは日本のアイドル史に強く太字で示され、これから「語られる存在」になる。だがそれは、過去に閉じ込められるという意味ではない。彼女たちが示した選択肢は今後も何度も参照されるこよになる。


TEAM SHACHIは、「続けることそのものを肯定した」稀有な存在だった。


そしてそれは、今この瞬間も、確かに生きている。



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 TAP99スタッフ
社内ライター
最強プロライター

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